焦熱弾道13.5
(投稿者:神父)
狙撃兵は孤独だ。
時として彼らは、味方にさえ憎悪されなければならない。
ザハーラ領東部戦線。起伏しつつ広がる岩石砂漠は、今日もひどく暑い。
褐色の肌をした小柄なMAID―――どりすは、巨大な狙撃銃を担いで岩山を登っていた。
弾倉やその他砂漠で必須の携帯品も含めれば、その装備は150kg近くにまで上る。彼女の華奢な肩にはいささか過大であった。
「ちっくしょう……」
岩肌から振り返ると、遥か彼方に砂塵でぼやけた神楽の姿が見えた。
できるだけ早く狙撃ポイントに腰を落ち着け、彼女の支援を行わなければならない。
機甲部隊の攻囲を破った一群のGが突出、撤退する自動車化部隊を追ってこの峡谷へ接近しつつあった。
どりすは足がかりを見つけ、礫に足を取られぬよう注意しながら再びよじ登り始めた。
一歩踏み出すごとに、スリングベルトを介して斜めに背負った狙撃銃ががたがたと音を立てる。
彼女は忌々しげに銃を見つめ、嘆息しそうになるのをこらえてから再び歩を進めた。
EARTH製試作型13.5mm対G狙撃銃。全長2200mm、重量60kg……MAIDにしか運用できない怪物である。
20mm弾用の大型薬莢を絞り込んで作られた専用の13.5mm強装徹甲弾は2km先のGの甲殻を悠々と貫徹しうる。
だがそのメリット以上にこの銃は使い難かった。
専用弾を使用する事による補給の困難。過大な爆発力に対処するための構造強化とそれに起因する重量の増大。
射撃精度を確保するために長大な銃身が非分解式とされている事も実戦運用に問題を投げかけた。
この銃は、ただ非実用的な長距離狙撃ができるというだけの、駄作であった。
(駄作……そうだ、あーしも……)
近接戦闘、近距離戦闘、中距離戦闘……不適格。
指揮、後方支援……不適格。
特殊能力……皆無。
彼女にとって、ただ狙って撃つだけが他のMAIDと同程度にできる事だった。
虚勢を張ってエースを自称しているが……陰で他のMAIDたちが何と言っているか、彼女も知らないわけではなかった。
ややあって、岩山の頂上に達したどりすは肩から銃を下ろし、適当...
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