戦場の小さな発明たち
(投稿者:神父)
「……見事に、完治しておりますな」
年老いた主治医が、これ以上ないほど言いにくそうに呟いた。
「だから言ったろう、一ヶ月より先に退院すると」
それまで傷だらけの裸体を曝しておとなしく診察を受けていたイェリコは薄い胸をそらし、満足げに言い放った。
隊員として立ち会っていたロッサが肩をすくめる。
「それ、私が言ったんじゃなかった? しかも内容は脱走―――」
「ええい余計な事は言わんでいい。ともかく二週間で完治したんだぞ、ちょっとした記録じゃないか」
先ほど主治医が言ったように、イェリコの負傷は完治していた―――全治一ヶ月のところを、その半分のわずか二週間で。
「そのうち技術部かEARTHあたりの連中が大挙して押し寄せてくるんじゃないかしら。あなたの身体、どう考えてもおかしいわよ」
「この程度、大した事もあるまい。そんな事より早いところ出撃したいものだ……が、例の新装備はあと半月後ときた。困ったものだ」
「新装備? 何それ、初めて聞いたわよ。もしかして、飛行場で山のように武器を積み上げていたのはそれで?」
「何!?」
ヘッドボードに寄りかかっていたイェリコが勢いよく身を起こした。
ロッサがぎょっとして身を引いたが、彼女はそれに気がつく様子もなく立て続けに訊ねた。
「飛行場だと? 積み上げていたとはどんな武器だ? その武器で一体何をしていたかわかるか?」
「ちょ、ちょっと、そんなにいっぺんに聞かれても答えられるわけないじゃないの」
「貴様には修行が足りん、修行が。……まあいい、飛行場にいけばわかる事だ」
言うが早いかイェリコは新調した飛行服に着替え、これまた新造されたチタン製義足を取り付け始めた。
それまで装着していた義足はプレス鋼鈑の規格品だったのだが、彼女が新品を要求したところ、皇帝が即座に特注品を用意したのだ。
MAIDを愛する皇帝ならでは……と言うべきだろうが、実のところ最新鋭の技術であるチタン加工の実践という目的もある。
彼女に実地で使わせてみて、何か問題がないかを検証しようというのだ。
ちなみに機械義足を白竜工業に作らせようと...
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