願いと誓いを継ぐもの
(投稿者:あくあらいと)
青く澄んだ空に響く鐘の音。
残滓となって消えゆく前に子供たちが元気よく、建物から飛び出てきた。
湖に向かうもの、山に向かうもの、街に向かうもの。
それぞれが笑い、騒ぎ、駆け回りながら目的地へと向かう。
それらに目を向けながら一人の少女がゆっくりと建物から出てきた。
色素の薄い金髪が微かな風に揺れる。
友人らに軽く手を振ると、少女も目的地に向かう。
「リリア、またねー」
振り向き小さく会釈をすると、彼女は小走りで門を抜けた。
彼女の家は没落した貴族の末裔でありこの街では有名であった。
家族は父と母と兄、そして兄嫁。
父は軍を引退し半ば隠居状態であったが、兄は軍人として戦場に出ている。
家に帰るとすぐにリリアは兄嫁のもとに駆け寄った。
「義姉さま!」
期待に目を輝かせるリリアに彼女は苦笑した。
「そんなに急いで帰ってきても、まだまだ先よ」
リリアの視線の先には兄嫁の膨らみをもった腹。2年目にしてようやく授かった赤子に一番喜んでいるのはこの風変りな義妹かもしれなかった。
「あとどれくらいです?」
「生まれるまでは十月十日。まだ5ヶ月よ?」
指折り数えるリリアは少し落胆したようであった。しかしすぐさま表情を輝かせると兄嫁の腹に恐る恐る触れる。
「男の子?女の子?」
「それはお楽しみに、ね」
やわらかく微笑んだ兄嫁と笑みを返すとリリアは普段の日課を行うために自分の部屋へと戻った。
蒼穹の空の下に風切り音が響く。
リリアの日課とは剣の稽古であった。
幼いころからなぜか騎士にあこがれていた彼女は両親の反対を押し切って6歳から剣を習い始める。両親は何度も説得しようと試みたが、少女の意志は固くついに諦めた。
師匠である元剣士という老人はリリアの幼さに驚きしぶってはいたものの、リリアの根気に負け剣を教え始めた。
そのとき老人に剣を習う理由についてリリアはこう答えた。
そのとき老人に問われた剣を習う理由についてリリアはこう答えた。
大切なものを守りたい
おそらく何かの本から引用したかと思われる言葉であったが、彼女はそれを実現するために努力を重ねた。
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